不安症とは?心配性・考えすぎとの違いや治し方について

不安から逃げるイラスト

「先行きが不透明だと、不安で落ち着かなくなる」
「なにか悪いことが起こるのではないかと、不安になることが多い」

このように、心配しすぎたり、考えすぎてしまうことは誰にでもあります。
一方で、不安が強くなりすぎると、学校や仕事、人間関係など、日常生活に影響が出てくることがあります。

この記事では、一般的な心配性と不安症(不安障害)の違いや、不安症にはどのようなものがあるのか、治し方などについて、認知行動療法(CBT)の考え方も交えながら整理していきます。

この記事のポイント

  1. 不安には大切な役割があり、不安になりやすいこと自体が問題ではない
  2. 不安症には、全般性不安症(GAD)や社交不安症(SAD)、パニック症など、さまざまな種類がある
  3. 不安症には薬による治療や認知行動療法(CBT)があり、不安との付き合い方を身につけていくことができる

不安のなりやすさには生まれ持った要素がある

「明日の仕事、大丈夫かな」
「あの人とあんなことを話したけど、大丈夫だろうか」

など、些細なことを気にしてしまうと感じている方は多くいらっしゃいます。人によって、不安になりやすさには違いがあります。こうした不安になりやすさには、生まれ持った気質や遺伝的な要因などが関係すると考えられています。

また、不安症には若い時期から始まるものも少なくありません。例えば、幼い子どもが親などから離れることに強い不安を感じる分離不安症や、人からどう見られるかを強く気にする社交不安症などがあります。

このように、不安になりやすい傾向は、本人の意思だけで決められるものではありません。

「自分が弱いから不安になる」
「もっと気にしないようにすればいい」

というように、自分自身の性格や努力の問題として考える必要はありません。

不安には役割がある

心配や不安に困っている人にとっては、不安はネガティブで悪い感情のように思えるかもしれません。しかし、感情はそもそも「サイン」であり、私たちの生活に役立つものでもあります。

不安という感情は、私たちに危険や問題の可能性を知らせてくれるサインです。それによって、私たちは事前に対策を立てたり、準備をしたりすることができます。

例えば、受験や大きな仕事があるとき、不安があるからこそ「準備しておこう」と考え、事前に対策をすることができます。

実際にカウンセリングでお会いする方の中にも、不安が強い一方で、慎重に判断したり、事前準備をしっかり行ったりする方は少なくありません。

このように、不安そのものが悪いわけではありません。問題になるのは、不安が強くなりすぎたり、長く続いたりすることで、生活に大きな負担が生じることです。

心配性と不安症の違いは?

不安が強いからといって、すぐに不安症というわけではありません。
例えば、仕事で大切な発表がある前に、

「うまく話せるだろうか」
「失敗したらどうしよう」

と心配になるのは、自然な反応です。一方で、さまざまなことについて心配が続き、不安を自分でコントロールすることが難しくなると、学校や仕事、人間関係などに影響が出てくることがあります。

不安症にはいくつかの種類があり、その一つに、さまざまなことへの心配が続く全般性不安症(Generalized Anxiety Disorder:GAD、旧称:全般性不安障害)があります。

全般性不安症(GAD)の症状

  • 落ち着かない、気が張っている、そわそわする
  • 疲れやすい
  • 集中しにくい
  • イライラしやすい
  • 首、肩、背中などに力が入っている
  • 寝付きにくい、眠りが浅い、夜中に目が覚める、眠った感じがしない

全般性不安症では、仕事や健康、家族、将来のことなど、さまざまな出来事について過度な心配が続き、その心配をコントロールすることが難しくなります。こうした状態が6か月以上続くことも、全般性不安症の特徴です。

自分の不安の程度を振り返りたい方は、GAD-7によるセルフチェックも参考にできます。

→ GAD-7で不安のセルフチェック|点数の見方と相談の目安

不安症には、全般性不安症のほかにも、社交不安症やパニック症など、さまざまな種類があります。ここからは、それぞれの特徴について説明していきます。

不安症にはどのようなものがある?

不安症にはいくつかの種類があります。ここでは代表的なものをご紹介します。

全般性不安症(GAD)

さまざまなことが気になり、心配が続く

社交不安症(SAD)

人からどう見られるかが気になる

パニック症(PD)

突然の強い不安や身体症状が起こる

  • 動悸、息苦しさ、めまいなどが突然起こる
  • 「また発作が起こるのでは」と不安になる
  • 発作が起こりそうな場所や状況を避ける
    →パニック症とは?

その他の不安症

特定の対象や状況に強い不安・恐怖を感じる

  • 分離不安症:親などから離れることに強い不安を感じる
  • 特定の恐怖症:特定の動物、場所、状況などに強い恐怖を感じる

※日本で2002~2006年に実施された疫学調査では、不安症全体の12か月有病率は4.9%と報告されています。これは、過去1年間に約20人に1人が不安症を経験していた計算になり、不安症は決して珍しい疾患ではないことが示されています。

※強迫症も不安と深く関係していますが、現在の診断分類では、不安症とは別の「強迫症および関連症群」に分類されています。

強迫症についてはこちら
→強迫症(強迫性障害/OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)とは

不安症とうつ病を併発することもある

不安症は、不安だけの問題として現れるとは限りません。うつ病を併発することもあります。

世界24か国で行われた調査では、うつ病を経験した人の約半数に、生涯の不安症がみられました。不安と気分の落ち込みが重なっている場合には、どちらの症状が中心になっているのかを含めて、状態を整理することが大切です。

また、不安症では「これくらいのことで相談していいのだろうか」「自分の性格の問題だろう」と考えてしまい、相談や受診まで時間がかかることがあります。実際に、不安症では治療につながるまでの期間が長くなりやすいことが報告されています。

不安が長く続いている場合や、仕事や生活に影響が出ている場合には、一人で抱え込まず、早めに医療機関などに相談することも選択肢の一つです。

うつ病について詳しくはこちら
→ [うつ病とは?|症状・原因・治療について]

不安症は性格の問題ではない

不安が長く続いていると、

「自分は昔から心配性だから」
「慎重な性格だから仕方がない」
「気にしすぎる自分が悪い」

と考えてしまうことがあります。特に、子どもの頃から不安が強かった場合には、それを自分の性格として受け止めてしまい、問題に気づかなかったり、相談をためらってしまったりすることがあります。

しかし、不安が強くなる背景には、これまでの経験や現在の環境など、さまざまな要因が関係します。そのため、不安症を単純に「本人の性格の問題」と考えることは適切ではありません。

不安症の治療法

不安症への治療には、薬による治療や認知行動療法(CBT)などがあります。どのような治療が適しているかは、不安の種類や症状、これまでの経過などによって異なります。

薬による治療

不安症では、症状や状態に応じて抗うつ薬や抗不安薬が用いられます。薬が適しているかどうかは、不安の種類や症状などによって異なるため、医師に相談することが大切です。

認知行動療法(CBT)

認知行動療法では、不安を完全になくすことを目指すのではなく、不安を感じることで避けていたことに少しずつ取り組んだり、不安を強めている考え方や行動のパターンを見直したりしながら、不安との付き合い方を身につけていきます。

認知行動療法(CBT)について詳しくはこちら
→ 認知行動療法(CBT)ってどんなもの?

不安が強いと感じたら

不安が長く続いていると、「どうしよう」と不安に飲み込まれてしまい、不安の強さに気づきにくくなることがあります。

まずは、「自分はどのくらい不安になっているのだろう?」と振り返ってみることから始めてもよいでしょう。

例えば、

  • 不安や心配にどのくらい時間を使っているか
  • 不安のために避けていることはないか
  • 不安によって仕事や生活に支障が出ていないか
  • 不安のために眠れなくなっていないか
  • 安心するための確認や相談が増えていないか

などを振り返ってみると、自分の不安の特徴が見えてくることがあります。不安が強く、生活への影響が続いている場合には、医療機関や心理職などの専門家に相談することも選択肢の一つです。

不安は誰にでも起こるものです。大切なのは、不安をなくすことだけではなく、不安があっても、自分にとって必要な行動ができるようになっていくことです。

参考文献

  1. Ishikawa H, et al. (2016). Lifetime and 12-month prevalence, severity and unmet need for treatment of common mental disorders in Japan. Epidemiology and Psychiatric Sciences, 25(3), 217–229.
  2. NICE. Generalised anxiety disorder and panic disorder in adults: management (CG113).
  3. Kessler RC, et al. (2015). Anxious and non-anxious major depressive disorder in the World Health Organization World Mental Health Surveys. Epidemiology and Psychiatric Sciences, 24(3), 210–226.
  4. Wang PS, et al. (2007). Delay and failure in treatment seeking after first onset of mental disorders in the World Health Organization’s World Mental Health Survey Initiative. World Psychiatry, 6(3), 177–185.

執筆者

臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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