復職後の再発を防ぐには|ストレス対策と認知行動療法

復職後の再発防止

執筆者:臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で20年以上心理支援に従事し、認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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うつ病で休職していた方が復職すると、

「また体調を崩して休職することにならないだろうか」
「職場の人に迷惑をかけたらどうしよう」
「せっかく復職したのに、また休むことになったら……」

と不安になることがあります。
実際、復職した後に再び病気休暇や休職をする方もいます。

厚生労働省の研究では、うつ病によって休職した後に復職した労働者について、復職後に再び病気休暇や休職をした割合は、1年後で28.3%、2年後で37.7%、3年後で42.0%、5年後で47.1%でした。

これは「うつ病が再発した割合」そのものではなく、復職後に再び病気休暇や休職をした割合です。そのため、すべてのうつ病の方にそのまま当てはまる数字ではありません。

ただ、復職した後も体調の変化に注意しながら、無理をしすぎないことが大切だと考える材料にはなります。

この記事のポイント

  • 症状が残っていると、その後の再発・再燃のリスクが高くなることがある
  • 「頑張らなければ」と無理をしてしまうパターンを調整する
  • 自分の体調の変化に早めに気づき、復職後も回復を進めていく

再発を防ぐために大切なこと① 十分な回復を確認する

復職を考えるときには、「休職期間がどれくらいになったか」だけではなく、実際にどの程度回復しているかを確認することが大切です。

たとえば、

  • 疲れやすさが残っている
  • 睡眠が安定していない
  • 集中しにくい
  • 気分が落ち込みやすい
  • ストレスに対処しにくくなっている

といった状態が続いていないかを振り返ってみましょう。

うつ病の症状がかなり改善していても、一部の症状が残っていることがあります。こうした「残遺症状」がある場合、その後の再発までの期間が短かったことを示した研究があります。

また、複数の研究をまとめたレビューでも、治療後に残った残遺症状は、その後の再発・再燃のリスクと関連することが報告されています。

そのため、症状が少し良くなったからといって、すぐに以前と同じ働き方に戻すのではなく、現在の体調でどの程度の仕事を続けられるのかを考えることが重要です。
復職はゴールではありません。働きながら回復を続けていくことも大切です。

関連記事:
・うつ病の復職の目安は?復職可能と判断されるポイント
・復職前に何をする?通勤訓練・試し出勤と職場の調整

再発を防ぐために大切なこと② 復職後の「頑張りすぎ」に注意する

復職後のカウンセリングでは、

「休んでいた分を取り戻さないと」
「周りの人よりできていない」
「迷惑をかけないように、もっと頑張らないと」

と考えて、頑張りすぎてしまう方がいます。もちろん、仕事に取り組むこと自体が悪いわけではありません。

問題になるのは、疲れがたまっていても休めなかったり、体調が悪くなっていることに気づいても仕事量を調整できなかったりすることです。

そのため、「休職中は休む、復職したら頑張る」と切り替えるのではなく、復職後も回復を続けながら働いていくという考え方が大切です。

疲労や睡眠、気分の変化、仕事量などを定期的に振り返り、必要に応じて早めに調整できるようにしておきましょう。

関連記事:うつ病に対する認知行動療法(CBT)の進め方

再発を防ぐために大切なこと③ 自分にとっての変化を知っておく

再発を完全に防ぐことはできません。
そのため、もし体調が悪くなったとしても「もっと頑張らなければ」と無理を続けるのではなく、早めに対処できるように準備しておくことが大切です。

たとえば、

  • 睡眠時間が短くなってきた
  • 朝起きるのがつらくなってきた
  • 疲れが取れにくくなった
  • 仕事のことが頭から離れなくなった
  • 人と関わることがおっくうになってきた
  • 以前よりイライラしたり落ち込んだりすることが増えた

など、自分にとって注意したい変化をあらかじめ整理しておきます。
そして、「この状態が何日続いたら相談する」「睡眠がこの程度まで崩れたら仕事量を見直す」など、具体的な対応を決めておくと、体調が悪くなったときにも対処しやすくなります。

再発予防では「再発しないこと」だけを目標にしない

再発したくないという気持ちは自然なものです。

しかし、「絶対に再発してはいけない」と考えすぎると、少し疲れただけでも「またうつ病になるのではないか」と不安になり、必要以上に自分の体調を気にしてしまうことがあります。

大切なのは、再発しないことだけを目標にするのではなく、体調の変化に気づき、必要なときに早めに対処できるようにしておくことです。

認知行動療法では、自分の考え方や行動のパターンを振り返りながら、ストレスが強くなったときの対処方法や、体調を崩しそうなときのサインについて整理していきます。

復職後も、無理をしすぎず、必要に応じて仕事や生活を調整しながら回復を続けていくことが、再発予防につながります。

ここまでお伝えしてきたように、うつ病の再発防止には、体調の確認や仕事量の調整、ストレスへの対処など、いろいろな視点から考えていく必要があります。

こうした整理が難しいと感じる場合には、認知行動療法など、うつ病に用いられる心理療法(カウンセリング)について相談してみるのも一つの方法です。

良くなる方法はさまざまです。一人で頑張ったり、抱え込みすぎたりしないようにしましょう。

なかなか改善しないときは、別の視点から考えてみる

ここまで、復職後の再発予防について、体調の確認や仕事量の調整、ストレスへの対処などについてお伝えしました。

一方で、こうしたことに取り組んでも体調を崩すことを繰り返したり、なかなか症状が改善しなかったりする場合には、うつ病そのものへの対応だけでなく、ほかの問題が重なっていないかを考えてみることも大切です。

たとえば、気分の波、不安の強さ、発達症の特性、仕事の環境などが影響していることもあります。そうした場合に、どのようなことを考えていけばよいのかについて、次の記事で詳しく説明しています。

「うつ病がなかなか改善しないときに考えたいこと|双極症・発達症・不安症」

参考文献・参考資料

  1. 厚生労働省「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」
  2. Buckman JEJ, Underwood A, Clarke K, Saunders R, Hollon SD, Fearon P, Pilling S. (2018). Risk factors for relapse and recurrence of depression in adults and how they operate: A four-phase systematic review and meta-synthesis. Clinical Psychology Review, 64, 13–38. doi:10.1016/j.cpr.2018.07.005
  3. Judd LL, Akiskal HS, Maser JD, Zeller PJ, Endicott J, Coryell W, Paulus MP, Kunovac JL, Leon AC, Mueller TI, Rice JA, Keller MB. (1998). Major depressive disorder: A prospective study of residual subthreshold depressive symptoms as predictor of rapid relapse. Journal of Affective Disorders, 50(2–3), 97–108. doi:10.1016/S0165-0327(98)00138-4