カウンセリングとは?自分の心の声に気づき、自分らしく生きるための対話

あなたは、自分の心の声を聞けていますか?

これまでの記事では、「認知行動療法(CBT)とは何か」、そして「どのような悩みに効果が期待できるのか」についてご紹介しました。では、実際のカウンセリングでは、どのようなことが行われているのでしょうか。
「話を聞いてもらうだけなの?」
「アドバイスをもらう場所?」
「悩みを相談したら、答えを教えてもらえるの?」
初めてカウンセリングを受けようと考えたとき、多くの方が、このような疑問を抱きます。悩んでいるとき、私たちは「どこかに正しい答えがあるはずだ」と考え、人に相談したり、本を読んだり、インターネットで検索したりします。もちろん、それらが役に立つこともあります。しかし、心の問題では、多くの場合、本当に大切な答えは外側ではなく、自分自身の中にあります。

「幸せの基準」は誰が決めているのでしょうか

例えば、「うまくいっている人生」とは、どのような人生でしょうか。以前は、「良い大学を卒業する」「大企業に就職する」「家庭を持ち、一戸建てを建てる」、そんな人生が成功のモデルとして語られている時代がありました。
では、今はどうでしょうか。SNSで多くの「いいね」を集めること、職場で高く評価されること、周囲から認められること。もちろん、こうしたこと自体が悪いわけではありません。
しかし、それが自分の基準になってしまうと、
「期待に応えられるだろうか」
「失敗したら嫌われるのではないか」
「周囲からどう思われているのだろう」
「自分は人より劣っているのではないか」
という不安が生まれやすくなります。知らないうちに、自分の気持ちよりも周囲の評価を優先し、キャラを演じ、自分のことがよくわからなくなってしまうこともあります。

答えは、自分の心の中にあります

こうした悩みに対して、「外」に答えを探しても、本当の意味では解決しないことがあります。なぜなら、自分にとって何を大切にして生きるのかという答えは、他の誰かが決めるものではないからです。
心理学者カール・ロジャーズは、人は安心して自分の気持ちや体験を受け止められるようになると、自分にとって本当に大切なものに気づき、自分らしい生き方へと自然に向かっていけると考えました。つまり、自分の心の声に耳を傾けることが、自分らしく生きる第一歩なのです。
しかし、自分の心と向き合うことは、決して簡単ではありません。一人で考えていると、「どうして自分はこんな人間なんだろう」「自分が悪いのではないか」という自己否定や劣等感に飲み込まれ、同じことを何度も考え続けてしまうことがあります。
そのため、人には安心して話せる相手が必要です。その相手は、
「それは間違っています」と否定する人ではありません。
「もっと頑張りましょう」と評価する人でもありません。
「こうすればいいですよ」と答えを押しつける人でもありません。
あなたの話を丁寧に聴き、「あなたは、そのように感じていたのですね」と理解しようとしてくれる人です。ロジャーズは、このような受容的で共感的な関係の中で、人は安心して自分自身を受け入れ、自分らしい生き方を見つけていけるようになると考えました。

カウンセリングは、自分で選択できるようになるための時間です

そのため、カウンセリングでは、「どうすればいいでしょうか」という問いに、すぐ答えを出すことはありません。それよりも、
「あなたは今、どのように感じていますか。」
「あなたは、本当はどうしたいと思っていますか。」
「あなたにとって大切なものは何ですか。」
そんな問いを一緒に考えていきます。その答えは、すぐに見つかるとは限りません。安心して話せる関係の中で、自分の気持ちを整理し、少しずつ見つけていく時間がカウンセリングです。
カウンセリングにはさまざまな考え方がありますが、認知行動療法(CBT)は、自分の考え方や行動のパターンを一緒に整理し、より生活しやすい方法を見つけていく心理療法の一つです。
そのため、目標が「不安を減らしたい」「うつから回復したい」「人間関係を改善したい」といった具体的な課題である場合には、認知行動療法(CBT)も使用して、その目標の達成を支援していきます。

まとめ

カウンセリングとは、「変えてもらう場所」でも、「代わりに決めてもらう場所」でもありません。自分自身に気づき、自分で選択できるようになるための対話の場です。
「ありのままの自分を少しずつ受け入れていきたい。」
「周囲の評価だけではなく、自分らしい生き方を見つけたい。」
そのような思いを抱えているときは、自分の心の声に耳を傾けることが、自分らしい生き方を見つけていくための大切な一歩になります。そして、自分の気持ちや困りごとが整理できてきたら、それをもとに「これからどうしていくか」を考えていくことも大切です。
認知行動療法(CBT)では、自分の考え方や行動のパターンを整理しながら、具体的な悩みや困りごとの解決に向けて一緒に取り組んでいきます。その第一歩を支えることが、カウンセリングの大切な役割だと私は考えています。

「カウンセリングを受けたほうがいいのかな」と迷っている方に向けて、次の記事では、カウンセリングが向いている人や、利用を考えるときのポイントについて紹介します。
次の記事カウンセリングが向いている人とは?利用を考え始めたときに知っておきたいこと

執筆者

臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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