★★★★★(心身の負担が大きく、生活への影響が強くなっている段階)
こんな声をよく聞きます
朝、目覚めても布団から出ることすらつらく、何をするにも重い感覚がまとわりつく。仕事のことを考えると動悸がして、吐き気がしてくる。夜も眠れない日が続き、日によってはほとんど眠れないまま朝になっている。
自分の気持ちもコントロールできない。何とか出勤しても、理由も分からないまま涙が出てしまう日もある。土日もベッドから動けず、昼頃になってようやくリビングに行く。「何か食べなきゃ」と思って納豆を食べても味がせず、ほとんど食べられない。体重も減ってきた。
家族は心配して食事を勧めてくる。でも、心配をかけていることが申し訳ない。それに、TVの音さえ煩わしく、そこにいることがつらくなって、自室に戻ってしまう。何かをしようという気持ちも湧かず、ただ時間だけが過ぎていく。気がついたら、もう夜になっている。リビングから家族の話し声が聞こえると、自分だけが取り残されているように感じる。「どうしてこんな状態になってしまったんだろう」と、自分が情けなくて涙が出てくる。
何が起きているのか
この段階では、つらさが日常生活のさまざまな場面に及ぶようになっています。動悸や吐き気、眠れない、朝に体が動かないといった症状が現れ、頭では「行かなきゃ」「やらなきゃ」と分かっていても、思うように動けなくなることがあります。これは、心身の負担がかなり大きくなっているサインです。この状態では、「頑張りたいのに、思うように動けない」という状態からさらに進み、
- 感情が湧きにくくなる
- 何を見ても、聞いても、負担に感じる
- 何をするにも強いエネルギーが必要に感じる
- 周囲に申し訳ないという気持ちが強くなる
といった変化が起こることがあります。これは怠けでも甘えでもありません。心身のエネルギーが大きく消耗し、感情や行動を動かす余力が少なくなっている状態です。そして、動けない自分を責め続けていると、
「自分は周囲に迷惑をかけている」
「この先もずっと、このままなのではないか」
と感じるようになり、将来への希望を持ちにくくなることもあります。つらさがさらに強くなると、「消えてしまいたい」「いなくなったほうがいい」といった気持ちが出てくることもあります。もし、このような状態でまだ医療機関を受診していない場合は、一人で抱え込まず、早めに医療機関に相談しましょう。相談窓口もあります。
相談窓口:電話相談|自殺対策|厚生労働省
これは、努力不足でも、弱くなってしまったからでもありません。これまでの生活の中で、仕事や人間関係、環境の変化など、さまざまな負担が重なり、心身が疲れ果ててしまっている状態と考えられます。
この段階では、まず負担を減らすことが大切です
この状態まで来ると、一人で抱え続けること自体が大きな負担になります。この状態では、一人で抱え込まず、医療機関などに相談しながら、負担を減らしていくことが大切です。医療機関では症状や生活状況を確認したうえで、休養や治療について話し合います。
ただ、ここまで休まず頑張ってきた方にとっては、「休む」ということ自体がよく分からなかったり、休もうとしても「早く元に戻らなければ」と焦ってしまったりすることがあります。
もう十分すぎるほど踏ん張ってきたのですから、これ以上、無理に頑張る必要はありません。急いで回復させようとしたり、「前のように働けるようにならなければ」と焦ったりする必要もありません。今は、「これ以上つらくならないようにする」ことを優先する時期です。
回復に向けて「ちゃんとできているか」を毎日評価する必要もありません。まずは、「今はそれだけ心身が疲れている状態なんだ」と理解するだけでも十分です。一人で抱え込まず、医療機関や専門家にも相談しながら、少しずつつらさを減らしていきましょう。今の状態から回復していく方法はあります。焦らず、一つずつ取り組んでいきましょう。
執筆者
臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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