★☆☆☆☆(頑張ることで負担が増え始める段階)
こんな声をよく聞きます
新しい仕事に取り組むようになった。覚えることも多く、これまでより気を張って仕事をしている。
一つひとつの作業に時間をかけ、集中して作業を続けていると、肩がこることもある。残業になることもあるし、仕事のことで悩む時間も増えてきた。それでも、
「頑張らないといけない」
「周りの期待にも応えないと」
「今は大変だけど、これくらいはやらないと」
と思って、仕事を続けている。
頑張っていると負担に気づきにくくなる
この時期は、新しい仕事にも意欲を持って取り組み、責任を持って仕事をしようとしている時期でもあります。「ちゃんと頑張りたい」という気持ちが、仕事を覚えていく力になります。そのため、困っている感じもないことがほとんどです。ただ、一時的に負担は増えているため
- 以前より体に力が入っている
- 集中して作業する時間が長くなっている
- 仕事中に肩や首がこる
- 仕事のことを考える時間が増えている
- 疲れを感じることが増えている
といった、小さな変化が出やすくなります。こうした変化は、少し休んだり、仕事の進め方を調整したり、時間が経って仕事に慣れたりすることで、自然に楽になることもあります。ところが、
「もっと頑張ろう」
「早く期待に応えよう」
「これくらい頑張るのは当たり前だ」
という気持ちが続くと、周囲の期待や仕事のことばかりが気になり、自分の疲れや負担に気づきにくくなります。
特に、これまで「しんどくても頑張る」ことで乗り越えてきた人の場合、
「今は頑張る時期だから」
「終わるまで休んではいけない」
「弱音を吐いてはいけない」
と考えて、休んだり仕事の進め方を調整したりすることを後回しにしてしまうことがあります。もちろん、頑張ることが悪いわけではありません。新しい仕事を覚えたり、難しい状況を乗り越えたりするためには、努力することが必要な場面もあります。ただ、
「しんどい → 休む」ではなく、「しんどい → もっと頑張る」
というパターンが続くと、気づかないうちに心身にかかる負担が大きくなっていきます。
少しずつ意欲に変化が出てくる
最初のうちは、
「頑張ろう」
「やってみよう」
と自然に思えていたのに、負担が積み重なるにつれて、その気持ちが少しずつ弱くなっていくことがあります。以前のように自然と「やろう」と思えず、
「やらなければいけないからやる」
という感覚が増えていきます。
仕事そのものを嫌いになったわけではないのに、取りかかるまでに気力が必要になったり、仕事を終えたあとにぐったりしたりすることもあります。それでも無理を続けていると、疲れが翌日まで残るようになることがあります。すると、
「前はもっとできていたのに」
「どうしてこんなにうまくできないんだろう」
と、以前よりも「できていない」と感じる場面が増えていきます。
疲れや意欲の低下だけでなく、少しずつ自分自身への評価にも影響が出始めます。
次の記事では、
「調子が悪い自分を、以前の自分や周りと比べて落ち込むとき」
をテーマに、そのとき心の中で起こりやすいことを、整理していきます。
執筆者
臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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