認知行動療法って何?
認知行動療法(CBT)は、さまざまな困りごとやメンタルヘルスの問題に対して用いられる、カウンセリングのひとつです。
仕事や人間関係、将来の不安、ストレスなど、私たちは日々さまざまな悩みを抱えています。そうした悩みが続くと、気分の落ち込みや不安、不眠、疲れやすさなど、心や体の不調につながることがあります。
認知行動療法では、そうした「つらさ」がどのように起きているのかを整理し、少しずつ楽になる方法を一緒に考えていきます。
「ただ話を聞くだけ」ではなく、
- 今、何が負担になっているのか
- どんな悪循環が起きているのか
- 今の状態でもできることは何か
を具体的に整理しながら進めていくのが特徴です。
認知行動療法にはどんな良さがあるの?
認知行動療法は、世界的にも研究が多く行われています。
うつや不安、不眠、ストレス関連の問題など、さまざまな悩みに効果が確認されており、多くの国の治療ガイドラインでも推奨されています。
(詳細はこちら:認知行動療法が効果的とされる疾患一覧)
メンタルヘルスの問題では、お薬による治療も大切です。一方で、つらさを和らげていくためには、なぜつらいのかを理解したり、日常生活の中でどのように対処していくかを考えたりすることも大切です。
認知行動療法では、こうした取り組みについて、多くの研究が行われています
認知行動療法では何をするの?
認知行動療法では、目に見えないストレスや心の不調を、「整理して見える化する」ところから始めます。
その際によく見るのが、
- 環境の要因
- 個人の要因
の2つです。

環境の要因
たとえば、
「ちゃんとできない、怠けているからだ」という相談があったとき
話を聞いていくと、
- 仕事量が多すぎる
- 責任や締め切りのプレッシャーが強い
- 人間関係のトラブルが多い
- 介護や育児に追われている
など、環境そのものが大きな負担になっていることがあります。
このようなつらい状況では、本人の努力だけではなんとかならないことがよくあります。
そのため、今の環境の中で無理が続いていないかを一緒に整理して、必要に応じて、
- 業務量を調整する
- 休みをとれるように調整する
- 周囲との関わり方を調整する
と、つらい状況を変えることで負担を減らす方法を考えます。
「ちょっと楽になった」と感じることができると、何かをしてみようと意欲が回復することも少なくありません。
個人の要因
一方で、環境だけでなく、考え方や行動がつらい気分や体の状態に影響していることもあります。
たとえば、
- 自分のせいだと責めてしまう
- 不安になると、できるだけ避けようとしてしまう
- 疲れていても休まず頑張ってしまう
- つらい気持ちを抱え込んでしまう
- 失敗しないように、自分を追い込みすぎてしまう
- 気分が落ち込むと、何もする気になれなくなってしまう
といった考え方や行動のパターンが、つらさを長引かせていることがあります。一人で考えると、どうしても「何とかしないと」「何とかならないのは自分のせいだ」と思ってしまう人が少なくありません。
こうした問題に対して、認知行動療法では「前向きに考えましょう」と無理に考え方を変えようとはしません。
なぜそのような考え方や行動パターンが生じているのかを一緒に整理しながら、今の状態でもできる工夫を探していきます。
「認知行動療法は自分にも合うのかな?」と思った方は、次の記事で、CBTが効果を発揮しやすい症状や疾患について詳しく紹介しています。
(次の記事:認知行動療法が効果的とされる疾患一覧)
なお、認知行動療法はカウンセリング(心理療法)の一つです。カウンセリングそのものについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
(関連記事:カウンセリングとは?自分の心の声に気づき、自分らしく生きるための対話)
執筆者
臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
