調子が悪い自分を、以前の自分や周りと比べて落ち込むとき

★★☆☆☆(自己評価が下がり始める段階)

こんな声をよく聞きます

「前は、もっとできていた気がする。」そんな考えが、頭をよぎるようになった。
新しい仕事は思った以上に複雑で、まだ分からない点がある。仕事をしている間は何とか頑張れるけれど、家に帰るとぐったりする。以前なら一晩休めばとれていた疲れが、翌日まで残るようになった。
周りからは、「助かっているよ。」「ありがとう。」と言われることもある。
大きな失敗をしているわけでもない。それなのに、自分の中では、ちゃんとできている気がしない。そんな感覚が少しずつ強くなっている。

「できていない」と感じることが増えてくる

ちゃんとできていないという感覚が強くなってくると以前なら気にならなかった小さなことが気になるようになることがあります。

  • 簡単な仕事のはずなのに時間がかかってしまう
  • 仕事ができている感じがしない
  • 周りはできているのに、自分だけ遅れているように感じる

この段階では、実際には仕事が大きく滞っていないことも多くあります。それでも、「自分はちゃんとできていない」という感覚が残りやすくなります。そして、できたことよりも、できなかったことのほうが目につくようになります。

自分への評価が少しずつ厳しくなっているのかもしれません

疲れがたまり、意欲も低下したことに気づかないと、「前はできていたのだから、今もできるはず」「やらないといけないと分かっているのにできない」と、自分をより厳しく評価してしまうことが少なくありません。たとえば、

  • 他の人の良い面と自分の悪い面を比較する
  • できたことより、できなかったことばかり思い出す
  • 周囲から評価されても、素直に受け取れない

といったことです。そして、今の自分が劣っているように感じてしまいます。こうして、自分の体調、実際の仕事ぶり、自己評価との間に、少しずつズレが生まれてくるようになります。

「しんどい」と感じても、まだ頑張れてしまう

この段階では、仕事をやりたくないわけではありません
「ちゃんとやりたい。」
「迷惑をかけたくない。」
「期待に応えたい。」
という気持ちはまだあります。ただ、以前のように自然と「やろう」と思える感覚が少しずつ弱くなってきます。「やりたいからやる」というより、「やらなければいけないからやる」という感覚が増えてくることがあります。これが、意欲が低下し始めているサインの一つになることがあります。
それでも、「忙しい時期だから仕方ない」「もう少し頑張れば大丈夫」と考えてしまうことで、休むことよりも、さらに頑張ることを選んでしまうことがあります。

「まだ大丈夫」が少しずつ苦しくなる

前の記事(★1)では、「疲れているけれど大丈夫、頑張ろう」と思えていたかもしれません。しかし、この段階では、「やらないといけないと分かっているのに、思うように進まない」と、疲れから意欲が低下し、「仕事ができない」と自己評価も低下し始めます。そして、残業などの負担が続くことで、さらに疲れも増していきます。
こうした状況が続くと、仕事への意欲がさらに低下したり、イライラしやすくなったり、集中することが難しくなるなど、徐々に仕事そのものにも影響が出始めます。

次の記事では、
「がんばっているのに結果が出ないと感じるとき」
をテーマに、頑張っているのに思うような結果が出ず、さらに自分を責めてしまう悪循環について整理していきます。

執筆者

臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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