うつ病の症状が少しずつ改善してくると、「そろそろ仕事に戻る準備をしたほうがいいのかな」と考えるようになるかもしれません。しかし、復職すると、仕事そのものだけではなく、通勤、人間関係、勤務時間、業務上のストレスなど、さまざまな負荷がかかります。そのため、「家で一日過ごせるようになった」だけではなく、復職後の生活をある程度想定しながら準備していくことが大切です。ここでは職場復帰の準備の時期に、どのように過ごせばよいかについて解説します。
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→「うつ病で休職したらどう過ごす?休養から回復まで」

職場復帰に向けた準備の時期
回復がさらに進んでくると、日中に起きている時間が増え、外出や読書などの活動も以前より負担なくできるようになってきます。この段階では、少しずつ「働くこと」を意識した活動に移っていきます。例えば、
- 決まった時間に起きて活動する
- 日中に一定時間、机に向かう
- 読書や勉強をする
- パソコンを使った作業をする
- 通勤を想定して外出する
- 仕事に近い時間帯に活動する
などです。体調を確認しながら、少しずつ活動量を増やしていきます。ただし、仕事に近い生活をしてみることが目的であって、できるだけ多くのことをこなすことが目的ではありません。
復職準備で大切なこと①|無理をしすぎない
うつ病では、いったん症状が改善してきた後に、まだ十分に回復していない段階で症状が再び悪化することがあります。職場復帰に向けた準備期間では、「早く復帰しなければ」と焦るあまり、できるだけ多くの活動に取り組んでしまうことがあります。しかし、「頑張ろう」として活動量を急に増やすことが、結果的に負担になる場合もあります。大切なのは、
「仕事に近い生活をしても、翌日に大きく疲れが残らないか」
という点です。自分の体調を確認しながら、負担になりすぎないペースで準備を進めていきましょう。こうした体調管理の方法を身につけておくことは、復職後の再発予防やセルフケアにもつながります。この時期から、自分にとっての「疲れのサイン」を把握しておくと、復職後の体調管理にも役立ちます。
復職準備で大切なこと②|再発を予防する
うつ病の発症や再発には、ストレスを含めたさまざまな要因が関係しています。そのため、復職を考える際には、「なぜ体調を崩したのか」「復職後に同じ負担がかかる可能性はないか」を整理しておくことが大切です。例えば、
- 業務量が多すぎた
- 業務の進め方が自分に合っていなかった
- 人間関係に強いストレスがあった
- 長時間労働が続いていた
- 家庭や生活上の問題が重なっていた
など、体調を崩した背景にはさまざまな要因が考えられます。職場に明確なストレス要因がある場合には、その要因を整理し、主治医や職場、産業医などとも相談しながら、復職後の対応を考えておくことが重要です。
職場側で調整できるものは調整し、すぐに変えることが難しいものについては、どのように対処するかをあらかじめ考えておきましょう。また、自分自身のストレスへの対処方法を身につけておくことも大切です。認知行動療法(CBT)は、うつ病の治療や再発予防、ストレスへの対処などに用いられている方法の一つです。自分だけではストレス要因や対処方法を整理することが難しい場合には、主治医に相談したり、カウンセリングも検討しましょう。
休職が長くなっている場合はリワークも
休職期間が長期化している場合には、復職そのものに向けた準備が必要になることがあります。休職期間が長くなると、
- 仕事から長く離れることで、仕事に戻ることへの不安が強くなる
- 生活リズムや体力を仕事に合わせにくくなる
- 仕事の進め方や職場の状況が変わっていることがある
- 職場の人間関係やコミュニケーションに不安を感じる
- 「以前のように働けるだろうか」と自信を失いやすい
といった問題が生じることがあります。このような場合に利用できる支援の一つがリワークです。リワークでは、決められた時間に通所して、集団で作業を行ったり、復職に必要なプログラムに取り組んだりします。生活リズムを整えたり、日中の活動量を増やしたりしながら、集中力や体力を確認し、徐々に仕事に近い活動へ移行していきます。
「もう長く休んでいるから、今さら戻れないのではないか」と感じている方もいるかもしれません。しかし、復職に向けた支援にはさまざまな方法があります。焦らずに、自分に合った方法を探してみましょう。
どこまで回復したら復職できる?
ここまで読んで、
「では、どこまでできるようになったら復職できる?」
と思った方もいるかもしれません。
また、「復職するのが怖い」「以前のように仕事ができないのではないか」「職場に迷惑をかけてしまうのではないか」と、不安を感じる方もいるでしょう。復職では、「気分がよくなったか」だけではなく、
- 生活リズム
- 体力・気力
- 集中力
- 活動を続ける力
- 人間関係
- ストレスへの対処
- 再発予防の準備
など、さまざまな点を確認する必要があります。また、復職可能かどうかは、本人の状態だけではなく、仕事内容や勤務時間、職場での配慮、復職後の支援体制なども含めて考える必要があります。では、具体的にどのような状態になれば復職可能と判断されるのでしょうか。復職の目安については、次の記事で詳しく解説します。
→「うつ病の復職の目安は?復職可能と判断されるポイント(準備中)」
執筆者
臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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