メンタルヘルスの誤解と偏見

37.5℃の熱が数日続き、だるさがあるとき、あなたはどうしますか?

① もう少し様子を見る
② 市販薬を試す
③ 病院に行く

このような状態のとき、市販薬を試しても改善しなければ、病院に行く人も多いでしょう。また、家族がこのような状態であれば、「一度、病院に行ってみたら?」と受診を勧めることも多いと思います。
では、熱などの身体的な問題はないものの、

・気分の落ち込みが続く
・眠れない
・食欲がない
・気持ちが晴れない
・心配が頭から離れない
・悩みが続いている

といった状態が続いたときは、どうするでしょうか?
「病院(心療内科・精神科)に行こう」と思うでしょうか?
また、家族から心療内科や精神科の受診を勧められたら、どう感じるでしょうか?
ショックを受けたり、「自分は病気ではない」と拒否したりして、受診をためらう人も少なくないのではないでしょうか。これは、メンタルヘルスに対する誤解や偏見が関係しているのかもしれません。例えば、微熱が続いて受診した場合、「いくつか薬を出しますので、様子を見てください。よくならなかったら、また来てください」と言われるなど、数回の受診で終わることも少なくありません。受診する側も、「身体の調子が悪いから病院に行く」というくらいの感覚で受診することが多いと思います。
一方で、メンタルヘルスの問題で受診するとなると、「重い病気なのではないか」「薬漬けになるのではないか」と心配する人もいるでしょう。しかし、基本的には身体の問題と同じように、早めに相談して対応することで、早い段階で改善につながることもあります。「調子が悪いかな」と思ったら、早めに受診する。これは身体の問題だけでなく、メンタルヘルスについても同じです。
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ストレスとの付き合い方と、こころの健康

身体の不調とメンタルヘルスの問題には、一つ大きな違いがあります。それは、ストレスを避けることの難しさです。例えば、風邪であれば、感染を避けるために、マスクをつけたり、人との近距離での会話を避けたりすることができます。一方で、メンタルヘルスの問題では、学校、仕事、人間関係など、日常生活のさまざまな場面にストレスの原因があります。そのため、簡単に避けることができない場合もあります。また、現在の日常生活だけではなく、親子関係や過去の体験など、これまでの経験が影響している場合もあります。このような場合、過去の出来事そのものを避けることはできません。
だからといって、「ストレスにさらされ続けるから、改善することは難しい」と悲観する必要はありません。認知行動療法は、ストレスへの対処や、うつ病・不安症などの改善に有効性が認められています。ストレスそのものを避けることが難しい場合には、ストレスへの対処力を高めたり、ストレスとの付き合い方を身につけたりすることも一つの方法です。
また、病気とまではいかなくても、

・「以前は楽しめていたことが楽しめない」
・「生きている意味が分からない」

と感じることがあります。学業や仕事、家事などをこなせていたとしても、こうした状態が続けば、生活の彩りや充実感が失われてしまうことがあります。私たちは、「成功したい」「うまくいっていると感じたい」と思うとき、何かを達成したり、何かを手に入れたりすることで、幸せになれると考えることがあります。つまり、「外に幸せや答えがある」と感じることも少なくありません。
しかし、私たちの幸福感に大きく影響するのは、何を手に入れたかだけではなく、自分がどう感じているかという、こころの中にある感情です。感情は、私たちの行動や人間関係、生活への満足感に影響し、生活の質(QOL)にも大きく関わっています。そのため、自分のこころの声に耳を傾けることも大切です。カウンセリングは、病気や症状の改善だけでなく、自分の感情や大切にしたいことに気づき、日々の生活の質を高めていくためにも役立ちます。
もちろん、生活の質を高める方法はカウンセリングだけではありません。人とのつながりを持つこと、好きなことや大切にしていることに時間を使うこと、生活習慣を整えることなど、さまざまな方法があります。毎日を少しでも楽しく、自分らしく過ごせるようになることを願っています。この文章が、ご自身のこころに目を向けるきっかけになれば幸いです。

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