子どものこころの問題は、本人だけでなく、家族にとっても大きな悩みになります。近年は、子どもの不登校やこころの問題、自殺などが社会的にも大きな問題となっています。子どもに問題が起きたとき、「自分の育て方が悪かったのではないか」「自分の関わり方に問題があったのではないか」と、自分を責めてしまう親御さんもいます。特に母親が責任を負わされるような雰囲気を感じることもあるかもしれません。しかし、子どもの支援に携わる専門家と話していると、「親が悪いから子どもに問題が起きた」という人はほとんどいません。
子どもの支援には、周囲の大人の協力が必要
大人であれば、自分の困っていることを調べたり、相談先を探したり、一人で相談に行ったりすることができます。一方、子どもは自分が何に困っているのかをうまく説明できなかったり、どこに相談すればよいのかわからなかったりすることがあります。また、心理士(カウンセラー)や医師などの専門家であっても、子どものこころの中をすべて知ることはできません。そのため、子どもの支援では、親や学校、医療機関、行政など、周囲の大人が協力していくことが必要になります。
子どもの問題は「親が悪い」のではなく、「親の協力が必要」というのが正確です。そして、子どもの問題は、子ども自身でも一人の大人でも解決することが難しいからこそ、周囲の大人が一緒に協力して考えていく必要があるのです。
問題が起きる前から、親は頑張っている
そして、ぜひ知ってもらいたいのは、子どもに問題が起きてから、突然親が頑張り始めるわけではないということです。妊娠や出産をきっかけに、仕事や家庭での役割が変わったり、睡眠不足になったり、自分の時間がなくなったりすることもあります。産後には、気分の落ち込みや不安が強くなり、産後うつなどのこころの不調につながる人もいます。また、そこまでの不調がなくても、子どもの成長に合わせて対応することが増え、十分に休めないまま頑張り続けていることもあります。
多くの親御さんは、問題が生じる前から子どものことを心配し、学校生活や生活習慣、友人関係など、さまざまなことに気を配っています。そして、不登校やこころの問題などが起こると、学校との連絡や相談機関への相談、家庭での対応など、さらに考えなければならないことが増えていきます。「自分のことなら我慢できるけれど、子どものことになると我慢できない」と、子どものために自分のことを後回しにしてしまう親御さんも少なくありません。
「親が頑張る」だけではなく、親自身が休むことも大切
このように、子どもに問題が生じると、親御さんにはさまざまな協力が求められます。そして、相談機関に行けば、子どもの生活リズムを整えることや、朝起きるように声をかけることなど、専門家から家庭での対応をお願いされることがあります。これは、親を責めているというより、子どもの生活を支えるために協力をお願いしていることが多いでしょう。
ただ、真面目な親御さんほど、「自分がもっと頑張らなければ」と考えてしまうことがあります。すでに十分頑張っているにもかかわらず、無理を重ねてしまえば、親自身がこころや身体の不調を抱えてしまうこともあります。そして、子どもがつらい思いをしているのに頑張れない自分に、親としての罪悪感を感じてしまうこともあります。
「今はそこまでできません」「自分も少し休みたい」と伝えることも大切です。親自身が休むことや、必要な支援を受けることも、子どもを支えるための大切な取り組みの一つです。
子どものことを、どこに相談したらいいかわからないときに
子どものことで悩んでいても、「どこに相談したらいいのかわからない」という親御さんも少なくありません。学校に相談するのがいいのか、医療機関を受診したほうがいいのか、心理士などの専門家に相談するのがいいのか。悩みの内容によっても、利用できる支援は変わってきます。
このサイトでは、子どものこころの問題だけでなく、子育ての中で生じるさまざまな悩みや、親御さん自身のこころの問題についても取り上げていきます。「こんなときはどうしたらいいのだろう」「どこに相談したらいいのかわからない」と感じたときに、少しでも参考になる情報を発信できればと思っています。
執筆者
臨床心理士・公認心理師
医療・教育・司法・産業など幅広い領域で、20年以上心理支援に従事。
認知行動療法(CBT)を中心とした心理支援を行っています。
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